狼の目に涙
うちの高校の制服に、髪色は黒をベースに緑のまだらアクセント。
思いつくのは一人しかいない、目が合えば殺されると噂の同級生、佐々原雅だ。
きっと喧嘩して負けたんだろう。
困っている人は助けたいけど、ヤンキーに自分から喧嘩を売るような真似はしたくない。平和に三年間を過ごしたいから。

なるべく視界に入らないように歩道と車道の際を歩いて、目も合わさないように自然を心がけて。

「そこのあんた」


今呼ばれたのは私じゃないと思いたい。
でも周りを見ても、私と佐々原雅以外誰もいない。
もしかすると私には見えていない誰かがいて、その人に話しかけているのかもしれない。

「そこのキョロキョロしてるやつ。お前しかいないだろ」
『…私、ですか』
「こんなとこで倒れてられねぇんだって」

やっぱり私だった。
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