狼の目に涙
この五つを寝室に運べば、あとは放っておいてほしいらしい。
ヤンキーは、他人の家で遠慮するということを知らないのだろうか。
私の足元で這いつくばる、うねうねとした巨体に最上級のあっかんべーをして、五つ全てを揃えにキッチンに向かった。

『怪我じゃなくて倒れてたってことは…風邪?にしてもあの態度はムカつく。ま、ゼリーは可愛いから良いか』

いかつい顔をして病人らしい要求をしてくるところは、ギャップがあって怖いばかりではないかもしれない。

さて、怒られる前に持っていかないと何が起こるか分からないので、四次元ポケット並みに保管されていた全てを持って寝室へ。
なぜベットがないのかと激怒している佐々原雅を無視して、一週間前に買い換えたばかりのふわふわ布団を畳に敷いていく。
買い換える前の布団を置いておくべきだったと後悔しても遅く、セッティグが終わった瞬間に布団にダイブされた。
ベットじゃなくても良いのかよ。
心の中でツッコミを入れてから、持ってきた解熱剤と水を渡す。
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