君がいなくちゃダメ。
それに対して満更でもなさそうな表情のなずを見てたら、無意識に笑みがこぼれてしまう。


「……ふっ」


なずのやつ、めちゃめちゃ喜んでるし。


そうしてなずのことを見てると、次の瞬間、そのなずとバチりと目が合った。


「──あっ、ゆず〜!」


そして、まるで犬のように笑顔でこちらに駆け寄ってきた。


「ゆずゆずっ、私のプレー見てた?」


「ちょっとな。やるじゃん」


「でしょ〜! 私もさっきゆずたちのほうチラッと見たけど、ゆずすごかった! かっこよかった!」


「それはサンキュ」


そう言って俺は、再び手に持ったペットボトルのお茶をひと口飲むと、なずがそれをじーっと見てくることに気づく。


それが何を意味するかすぐに察した俺は、なずにそのペットボトルを差し出す。


「……飲む?」


「うんっ! ありがと〜! また飲み物持ってくるの忘れちゃった」


「寝坊なんてするからだよ」


てへっと笑うなずのこういう抜けたとこも、もはや慣れっこだ。

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