またキミに会うために~1400年の時を超えて~

プロローグ

 鉛色の雲を眺めながら、私は今日もいつもの場所にいた。


 “__(まじな)いだ”


 鼓膜をそっと揺らす優しい声も。


 “__優花(ゆか)殿”


 瞼に映る鮮やかな日々も。

 幾ら月日が過ぎようと色褪せることはない。


「……約束、守ってよね」


 彼がこの小指に結んでくれたように風に揺れる木の枝に、そっと優しく赤い紐を結ぶ。


 __これは、私と彼が交わした約束。


 ふわりと優しい風が前髪を撫でた瞬間、トクンと跳ねる鼓動と共にこの瞳からは涙がそっと零れ落ちた。
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