またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「しかしながら、優花様がいらっしゃってからは皇子様は明るくなられました」

「そ、そう?」

「はい。以前は、ただただ一人で景色を眺めておられましたから」

 皇子は侍女達の前では、患っているフリをしている。だけど今は私が傍にいるから、普通でいられる時間ができた。

 だけど、その前は?
 きっと一日中演技をして、一人ぼっちであの部屋いたのだろう。

 想像すると、胸が痛む。

 “__敬われることは、寂しい”

 皇子には、本音を話せる人がいない。
それどころか、ありのままの姿を見せられる相手がいない。

 “__この身に生まれた故”

 それがどれだけ辛いことか、私には理解できるはずがない。
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