またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「入るよ」

 私が部屋に戻ると、皇子は縁側に座っていた。

「五月雨さんから、和紙をもらってきたよ」

「和紙か? 何に使うのだ?」

「今日は、座ってできる遊びをしようと思って」

 私はいつものように、皇子の隣に腰を下ろす。

「どのような遊びだ?」

 黒いピカピカの漆器の箱の中から、白の和紙を取り出す。

「この和紙を織って、鶴を造るの」

「鶴!?」

 目をパチクリさせる皇子に「見ててね?」と、ニヤリと笑う。

 小学校の頃にお母さんに教わった折り紙は、唯一私の特技でもある。あの頃は、毎日織っていた。
< 104 / 204 >

この作品をシェア

pagetop