またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「そうそう。最後に羽を広げさせて」

「こうか?」

 皇子の手のひらには、私よりも不恰好な鶴が羽を開くと「おお!」と、小さく声を上げた。

「摩訶不思議。このような遊び方があるのだな」

「あとはね、猫とか!」

「猫!?」

「犬もあるよ」

 私は、和紙を織っていく。猫と犬は、鶴より簡単だからすぐに完成する。

「皇子。筆貸して」

「筆か?」

 渡された墨のついた筆で、猫と犬の顔を書く。目に、鼻に、ヒゲ。

「じゃーん」

「おお!」

 皇子は目を輝かせながら何を思ったのか、私の手を掴むとマジマジと眺めている。
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