またキミに会うために~1400年の時を超えて~
 民家を横目にダラダラと歩いて行くと、やっと〈藤白坂(ふじしろざか)登り口〉に辿り着く。

 このまま和歌山県の名産物、みかん畑を通り過ぎ山の方へと進んでいくと、そのうち竹林に囲まれた〈藤白坂〉が現れるのだが、さすがの浜田もそこまでは行くつもりはないらしい。

 小学校、中学校と何かとハイキングをさせられた思い出が蘇えり恐ろしくなるけれど、浜田からは一度もハイキングの提案はないからホッとしている。

 __課外授業の目的。

 それは、いつも藤白坂の登り口にあるのだ。

 民家に囲まれたその小さな広場は、長い歳月の間もずっと地元の人達によって大切に守れてきた。

 細長い石柱の前には、いつだって地元の人が欠かすことなく花を手向けている。

「みんな。手を合わせなさい」

 浜田を筆頭に、強制的にお参りをさせられる。

 細長い墓石の前で、一斉に手を合わせる姿はきっと旗から見たら異様だろう。
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