またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「……皇子のお母さんは、どうしてるの?」

「母上は、父上の後を追うように身罷られた」

 淡々と落とされる言葉に、胸が痛む。お母さんまで、亡くなっていたなんて。皇子は、一人ぼっちなんだ。

 この時代の親子関係は、私にはわからないけれど。寂しくないはずがないって、思う。

「中大兄皇子は容赦がないのだ。自らの兄を謀反の罪で処刑し、自らの后とその父上を讒言(ざんげん)により自害に追い込んだこともある」

「ザンゲン?」

「根拠のない、偽りの話しを流すことだ」

 嘘の話しを流し、自殺に追い込む。ましてや自分の奥さんと、そのお父さんまでも。段々と、皇子の言った恐ろしいという言葉の意味を理解する。
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