またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「それ故、私は患ったふりをしている。中大兄皇子や周りを欺くために」

 自分の身を守るため。
 そこまでしないといけないなんて、どんなに辛い思いをしているか私には想像もできない。

 みんな敵だと、皇子が言ったことを思い出す。身内にすら心を許すことができない。大王の地位を狙っていようといまいと、邪魔だと思えば殺されるから。

 その恐怖から、私ならおかしくなってしまうだろう。皇子の心を知りたいなんて思った私は烏滸がましい。時代も身分も違うこの人のことを、私が理解できるわけがない。その寂しさも悲しみも、推し量ることはできない。
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