またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「何故、優花殿が泣く」

 戸惑いながら皇子は淡い水色の袖で、この頬に触れる。私にも何故、自分が泣いているのかわからない。だけど、胸が押し潰されそうで苦しい。

「泣くでない」と、優しく微笑みながら涙を拭ってくれる皇子はやっぱり朧月みたい。

 その存在はどこまでも淡くて、どこまでも儚い。なのに、その真ん中には覚悟という芯が通っている。こんな人に、私は出会ったことがない。

 私が歴史に詳しかったらな。と、後悔する。そうしたら、少しは皇子の力になれたかもしれない。

 __皇子の力になりたい。

 そう思うのに、私はあまりにも無力だ。
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