またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「お疲れ様」

 部屋に入ると、その背中に声をかける。ボーッとしていたのか、私の声にハッと肩を揺らした。

「ごめん。驚かせちゃった?」

「いや」

 ニッコリと笑った顔を見て、安心する。

「ねえ? 大岩さんとは、仲良いの?」

「大岩? ……ああ」

 どうやら、省略した呼び名でも通じたようだ。

「あの人って性格悪そうだけど大丈夫?」

 皇子ってお人好しだから、意地悪されていないか心配になる。



「そう、思うか?」

 だけど笑うでもなく否定するでもなく、皇子は神妙な顔つきをしていた。

「やっぱり、虐められてるの!?」と、慌てる私に皇子は声を出して笑った。

「案ずるな。私は皇子だぞ? やはり、優花殿は愉快だな」

 そうか。皇子虐めは、恐れ多いか。
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