またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「何を間抜けな顔をしておる」

「……いや」

 ダメだ。昔の人の考え方も、体力も理解し難い。

「藤白も通るぞ」

「え……」

 久しぶりに聞いた懐かしい地名に心臓がドキリと跳ねる。

「夜にはきっと、たどり着くであろう」

 もしかして、未来に戻れる?このタイミングで?

「食べるか?」

「……ありがと」

 皇子が懐から取り出した黄色い飴をもらうと、口に入れた瞬間甘酸っぱいパイナップルの味がする。

 未来の味。
 私の、慣れ親しんだ味に気づく。私が生きるのは過去ではなく未来。どのタイミングであろうと、帰れるのならいいじゃないか。
< 140 / 204 >

この作品をシェア

pagetop