またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「そんな嫌そうな顔をするな」

 何も知らない浜田が、大きな溜め息をつく。

 確かに皆の前で紐を結んだりほどいたりなんて、謎の呪いなんてしたくない。

 しかし今はそれだけではない。
 早くこの場所から解放されたい。

 手短に済ませようとする私の隣で、浜田はゆっくりと話し出す。


「みんな。皇子の気持ちになってみるんだ」


 その発言に、周りの生徒たちがまたかと苦笑する。

 だけど気づかないのか、気づかないふりをしているのか浜田は変わらぬテンポで話し続ける。

「もしかしたら、自分は死んでしまうかもしれない。どこかでそう思いながら、無事を祈り松の枝を結ぶ。それを考えたら、今こうしてこの目で松の枝を見ることができたことは、とても幸せなことだと思わないか? こうして枝から紐をほどくことができることも、この上ない幸せだと感じないか?」

 ……頼むから、早く帰らせてくれ。

 そう願っている私と、同じことを考えている生徒たちは呆れた顔をしている。

 約一名、麻美だけがコクコクと何度も頷いているけれど、それならばこれからは二人だけで課外授業をして欲しい。
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