またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「わかりました」

 とりあえず口だけで返事をすると、私は浜田に気付かれないように小さく溜息を吐きながら枝を掴む。

「もっと丁寧に」

 そんな注文は無視して、黒い紐をパッとほどいて浜田に返す。

 そもそも、私を選んだのが悪い。

 歴史の成績だって良くないし、授業中は寝るぐらい……。

「……歴史なんて嫌いだ」

「何だ、坂口?」

 どうやら声に出ていたらしく、反応をした浜田に作り笑いをする。

「いえ、何でも」

 過去の人に想いを馳せたって無意味だ。

 第一、その皇子だって本当に存在していたわけ?
 史実だけで、本当は存在していないかもしれないじゃない?

 浜田だって、見たわけじゃないだろう。

 ムスッとしたまま、みんなの待つ列に戻ると儀式を終え満足した浜田はまた軽快な足取りで歩き出した。
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