またキミに会うために~1400年の時を超えて~
 行きと同じように、輿はゆっくりゆっくり進んでいく。気分転換に外を眺めても、昼間に見た白浜の海を通っても、気持ちが晴れることはない。

 ただ良からぬことを考えないように、皇子にこの不安を悟られないように時を過ごす。

 担ぎ手の人達はあまり休憩をとらずに歩き続けた。

 そして二日目の朝に泊まったお寺にまたお世話になったけれど、仮眠をとる程度にしたのはあちらに着く時間を調節する為だとか。通常運転の皇子は相変わらず笑っているけれど、その顔はいつもと違う。どこか気を張っている。

 __中大兄皇子。

 ただの教科書に載っていただけの人物が、今は私の目の前に生きて立ちはだかっている。そう考えたら、とても眠ることなんてできなかった。
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