またキミに会うために~1400年の時を超えて~
 モヤモヤしたまま難波宮に戻ると、小さな宴が開かれた。皇子の病気が治ったお祝いだ。

 担ぎ手の人達はどうやら皇子の使用人らしく、今夜は一緒にお酒を呑んでいる。

 侍女達はひたすら御酌にまわることになっているけれど、高校生に酒の席の振る舞い方なんてわからなくて困る。

「優花殿も是非」

「あ、私は」

 塩谷さんにお酒の入ったお猪口を渡され戸惑っていると、頭上から声がする。

「お前は一人で飲んでいろ」

 そして私を立たせると、自分の横に座らせる。

「優花殿は、そのようなことをしなくてよい」

 そのようなことって、御酌のことかな?遠くでニヤニヤしている塩谷さんを睨みつけると、私は皇子のお猪口にお酒を注ぐ。
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