またキミに会うために~1400年の時を超えて~

「じゃあ、皇子だけに御酌するね」

 何もしないのは、他の侍女達に申し訳ないし。しかし皇子は、目をパチクリさせている。だけど、すぐに思いっきり視線を逸らされた。

 本当、たまに皇子は謎だ。

 それからしばらくすると、宴会はお開きになった。

「舎人さん大丈夫?」

 明らかに気分が悪そうな舎人さんは苦笑いを浮かべると、陽気な足取りの塩谷さんに連れていかれてしまった。

 そして顔色一つ変えない大岩さんと、境井さんも自分の屋敷へと戻っていく。

 この宮殿の中に家臣達専用の屋敷があるのだとか。隣に座っている皇子も顔色を変えずにまだお酒を飲んでいる。

 この人、若いのに酒つえーな。
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