またキミに会うために~1400年の時を超えて~

「後は、アイツがどう動くかだ」

 前を見据えたまま、皇子がポツリと呟く。

「アイツって?」

「蘇我赤兄だ」

「……赤兄さん?」

 思ってもいなかった名前に驚く。蘇我赤兄さんは、前に皇子を尋ねて来たけれど……。

「恐らく、近々接近してくるであろう」

「……それって、中大兄皇子と蘇我赤兄さんが手を組んでいるってこと?」

「赤兄は中大兄皇子のジュウシンなのだ」

「ジュウシン?」

「重要な職についている家臣のことだ」

 __重臣。

 中大兄皇子が水面下で動いているとは、このことだったんだ。
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