またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「はぁー」
「溜息ですか?」
縁側で足をブラブラさせていると、後から声をかけられた。
顔を上げると、いつものように爽やかに微笑む塩谷さんがいる。今日は朝から皇子に用事があると、舎人さんと一緒に尋ねてきたのだけれど。
「皇子とのお話は終わったの?」
「ええ」
「そっか」
「どうされました? 元気がないですね」
「ちょっと、考えごと」
斉明大王のこと。
中大兄皇子のこと。
どうしたら皇子を見逃してくれるか、足りない頭で考えていた。
「もしかして、恋煩いではありませんか?」
「は!?」
ヒョイッと塩谷さんの後ろから顔を出した舎人さんが、突拍子もないことを言う。
「おなごの溜息は、恋患いだと教わりました」
誰にだよ!と、思わず突っ込みたくなる。