またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「何をしておるのだ」

 穏やかな空気が、一瞬で空気が氷る。

「お、皇子」

 振り返ると部屋から出て来た皇子が、あからさまに眉間に皺を寄せていた。

「それではこれで」

「優花殿。また」

 舎人さんと塩谷さんは、ニコニコと笑顔のまま消えていった。微妙な沈黙だけを残して。

「あ、私も部屋に戻ろっ」

 わざとらしいのはわかっていたけれど、不機嫌モードの皇子の接し方がまだいまいちわからないから。だけど皇子は私の背中を追ってくる。

「何を話しておったのだ?」

「え? 世間話しだよ。世間話し!」

 あははー。と、笑うけれど皇子は真顔で私を見つめている。だけど、すぐにプイッと顔を背け縁側に腰かけた。
< 186 / 204 >

この作品をシェア

pagetop