またキミに会うために~1400年の時を超えて~
 葉を揺らす音が、やがて周りの音を掻き消しザワザワと私の体内を駆け巡り、恐怖へと変わっていく。

 そっと顔を上げると、また音が大きくなる。

 __背後から伸びる大きな楠。

 その枝についた葉が、また風もないのにユラユラと揺れている。

 だけど、さっきとは様子が違う。

 試しに視線を移してみたけれど、揺れは視線を追いかけてはこなかった。

 ……良かった。

 ホッとしているのも束の間、揺れが隣の枝へと移動していく。

 隣へ。また、隣へ。それは、とても不思議な光景だった。

 まるで、私の視線を導こうとしているように感じるのは気のせいだろうか。
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