またキミに会うために~1400年の時を超えて~
 ……何なのよ。

 興味を持つな。と、自分に言い聞かせてみたものの怖いもの見たさという好奇心が私の重い腰を持ち上げる。

 __一体、どこへ向かうのか。

 立ち上がると、私は葉の動きについていく。

 __こっち、こっち。

 まるで、何か逆らえない力に引き寄せられるようにフラフラと歩いて行くと葉の動きがピタリと止まる。

 __そこは、見慣れた小さな鳥居の前。

 奥の小さな社殿には、藤白坂で亡くなった皇子が祀られている。

 疑問に思っていると、ふと視線を感じた。

 顔を上げると、いつも通り上から皇子の絵が私を見下ろしている。

 黒い帽子に黒い靴。淡い水色の着物のような服を来て、その下には白い袴を履いている。

 その姿は、昔から幾度となく見ているはずなのに、今日はどこかが違う。

 いや、違うはずがない。
 絵が、いきなり変わるはずなんてないんだから。
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