またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「時間を見る為」

「ジカン?」

 と、首を傾げる姿にギョッとする。

 彼は、時計を知らない。そして
時間もわからない。そうなると……。

「……刻?」

 確か昔、丑の刻とか「時」ではなく「刻」と言っていたと数少ない知識を活用する。

「おお。刻であるか」

 案の定、通じたらしい。
 やはり彼は、さっきからずっと昔の言葉を話していたようだ。

「チコクなら存じておるが」

「ち、遅刻?」

「漏刻だ。水の量で刻がわかるとか、ナカノオオエノミコが申しておった」

 み、水の量!?
 な、なんて原始的なの!?

 どうやら言葉だけではなく、生活も昔の形式をおいているらしい。

 貧しいのかな……。
 いや、そんなはずがない。私の家よりも大きなお屋敷に住んでいるのだから。

 ならば、彼の趣味なのだろうか?
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