またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「いただきます」

 パクパクと食べ始める皇子の横で、手を合わせると私は親しみのある器を持ち上げる。

 よく見ると全てのおかずが、黒光りした漆器に盛られている。正直、この時代からあったなんて驚きだ。

「これって、漆器だよね?」

「そうだ。優花殿は詳しいのだな」

 私の住んでいる和歌山県の伝統工芸品の一つに、紀州漆器があって漆器は小さい頃から親しみのあるものだった。

「早く食べ」

 ぽけーっと、器を眺めている私に皇子は言う。

「あ、うん」

 素直に頷くと、まず最初に漆器にこんもりと盛られたご飯を頬張る。
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