またキミに会うために~1400年の時を超えて~
 それにしても、さっきからピシッと伸びた背筋のまま食事をする皇子には感心する。

 凛と姿勢を正し音もたてずに黙々と食べている姿は、やはり皇子なのだと改めて思う。

 育ちが良いのがわかるし、食事する姿すら美しい。

「どうかしたのか?」

 見つめ過ぎてしまったのか、皇子に気づかれてしまい苦笑する。

「綺麗に食べるな。と、思って」

「そうか?」

 そうやって首を傾げる仕草には、まだ幼さが残る。だけどその身分からか、ふとした瞬間の動作が大人びていて、同年代の男の子にはいないタイプだ。

「愉快だ」

「え?」

「このように他愛もない話をしながら、食事をすということが」

 と、ふいに呟く皇子。

「いつもは、一人で食べてるの?」

「いや、侍女がいるが会話はしない」

「そうなんだ」

 そういえば、侍女の前では目が虚ろキャラだった。と、思い出す。
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