またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「だから今日は愉快なのだ。優花殿がいてくれて」

 ふいに向けられる笑顔に、心臓がトクンと波打つ。生まれて初めての感覚に戸惑いながらも、一重の切れ長の瞳を見つめる。

 目尻にできた皺も、弧を描く形の良い唇も。色白の肌も。男の子を綺麗だと思ったのは、初めてだった。

「……ありがとう。改めて、これからよろしくお願いします」

 火照る顔を髪で隠すように頭を下げる。考えてみたら、しっかりと挨拶をしていなかった。

 しかし皇子は気にしていないようで、ただ愉快そうに笑っている。

「気にするでない。優花殿が自分の世界に帰る方法が見つかるまでは、ここでゆるりと過ごせば良い」

 天の気まぐれによっておきてしまった現象に、果たして帰り道などあるのだろうか。

 誰にもわからない問いを、そっとこの胸にしまうと私は微笑む。

 全く生活様式の異なる時代で生活をすることは、とても不安だけれど。暗闇に一人佇む私を、皇子という月が明るく照らしてくれるから。きっと、大丈夫。そう、思える。
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