またキミに会うために~1400年の時を超えて~
 食事を終えると、私は皇子に誘われ縁側で一緒に夜空を眺めた。私の時代よりも、月や星の輝きが鮮明に見えるのは光を邪魔する街灯がないからだろう。

 部屋の中にもライトはなく、微かな火だけを頼りにしている。私からした、もはや真っ暗に変わりない。

「今宵は朧月だ」

 そっと陶器のような白い指で、ふんわりと滲む黄色い月を示す。そして「兎はいるかのう」と、笑っている。

 その笑顔こそが、まるで朧月のようだ。ふんわりと優しく、だけど消えてしまいそうにどこか儚い。

「いるかもしれないね」と、返したのは皇子のメルヘンワールドを口に出して壊す程に私は非道ではないからだ。
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