またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「この目に、焼き付けておきたいのだ。変わってゆく景色を、変わってゆく世界を」

 そう言って、皇子は深呼吸をする。胸の中に空気をたくさん取り入れ、そしてゆっくりと吐き出す。

「この瞬間は、全て尊い」

「……尊い?」

「そうだ。優花殿と過ごすこの日々も、とてもとても尊い」

 そういつものように無邪気に笑う皇子に、今日は胸が痛む。私には、笑っているのにどこか泣いているように見えた。
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