またキミに会うために~1400年の時を超えて~
「失礼致します」

 しかし侍女の声が、部家の外から聞こえた途端皇子の顔から表情がなくなる。

「優花殿。いらっしゃいますか?」

「あ、はい」

 呼ばれた私は、縁側から部屋に上がる。すると露さんと、おっとり系女子の時雨さんが入ってきた。

「お渡し忘れていたのですが、こちら優花様のお召し物に入っておりました物にございます」

 平伏す時雨さんが差し出した物を見て、未来の世界を鮮やかに思い出す。

 赤い紐で口を結ばれた透明な袋。その中に入った、色とりどりの小さな飴。

 これは未来の私が住んでいる家の近くにある、駄菓子屋さん。私の大好物。

 そういえば、うさみみパーカーのポケットに入れっぱなしにしていたことを思い出す。
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