ヨンファの話。
ナジャの峡谷には牛飼いがいるのだけど、ある日デイとヨンファは牛の世話をしたことがある。

放牧された牛たちをヨンファの友達が追いかけていく。

吹いているのは風だった。

その日天気は崩れ雨となった。

ヨンファは家屋の縁側で寝転がりラジオを聴いていた。

降り続ける雨にデイは不安そうにTシャツ姿で縁側に寝転がる。

ヨンファたちは東家に滞在していた。

雨が降り続く。

ナジャ王国にとり不安定な天気は悩みの種だった。

ヨンファはこころのなかでお経を唱えた。

翌朝シリリンシャとデイ、ヨンファは仏壇で朝のお経を唱えていた。気配が凛としていく心地よさがあった。

雨は既に止んでいた。庭の草木は雨水を吸い甘露に似た雨滴を帯びていた。

「庭だけでなく、この数多の世界は甘露を味わっているのよ」

シリリンシャが優しくそう述べた。
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