私のボディーガード君
「妃奈子さん、人に向かって指を指すのはよくないですよ」
「あ、ごめん。つい。今、三田村君が言った通りだと思ったの。母は『チャイルド』に問題がある事を知っていたのよ。だから、優真の治療に使いたくなかった。そして、開発者である倉田浩介も知っていたとしたら、倉田と母をつなぐのは『チャイルド』だと思うの」
「なるほど。確かに『チャイルド』が2人の接点かもしれませんね。『チャイルド』について調べてみる必要がありますね。神宮寺製薬に行ってみますか。綾子さんに会社の方を紹介してもらったので」
「あ、だったら明日行こう。丁度、呼び出されているんだよね。堂々と社内に入れるよ」
「呼び出されているって、なぜですか?」

三田村君が心配そうな目になる。

「えーと、それは、ちょっとあのお嬢様とやり合っちゃって」
「え! やり合ったってどういう事です?」

三田村君がますます心配そうな表情を浮かべる。

「大した話じゃないから。それより、そろそろ行こう。陽も暮れて来たし」

心配をかけたくなかったので、綾子さんの事は三田村君に話したくなかった。
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