私のボディーガード君
「やっぱり浅羽さんが倉田浩介だったの?」
「そうだ。僕が倉田浩介の名前を使って、神宮寺製薬と佐伯洋子に脅迫状を出した」

罪を告白した浅羽は落ち着いた様子で足を組みかえ、私を見る。その表情からは罪悪感のようなものは感じられない。

この三ヶ月、私がどれ程の恐怖を感じて過ごしてきたか、この男は少しもわかっていなさそうで、腹が立つ。

「どうしてそんな事を?」
「どうしてだと思う?」

こちらに向いた少し目尻の上がった切れ長の目が記憶の中の倉田浩介と重なる。広い額も、通った鼻筋も、やや厚みのある唇もそっくりだ。こんなに似ているのは倉田浩介の血縁者としか考えられない。

浅羽の年齢から考えると彼は……

「浅羽さんが倉田浩介の息子だからじゃないの?」

そうとしか思えなかった。
脅迫事件は父親の復讐をする為に起こした。そう考えればしっくりくる。

二重の目が嬉しそうに微笑んだ。

「さすが妃奈子さん。いい推理だ。その通り。僕は倉田浩介の息子だ」

思った通り、浅羽は倉田浩介の息子……!
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