私のボディーガード君
「僕は父の事をあまり知らずに育ったんだ。僕が小学校に上がる前に両親は離婚してね。浅羽と言うのは母の苗字なんだ。母は再婚もせず女手一つで僕を育てた。うちは裕福ではなかったが、大学まで行かせてもらったよ。後で知ったが、母は神宮寺製薬から口止め料として金を受け取っていたんだ。僕はその金で育てられた」
「口止め料って、何の?」
「倉田浩介の存在を忘れる口止め料だよ」
「存在を忘れる?」
「妃奈子さん、倉田浩介はもうこの世にいないんだよ。妃奈子さんを誘拐した後、父は神宮寺製薬と佐伯洋子に殺されたんだ。表向きは自殺した事になっているが」
倉田浩介が亡くなっていたなんて……。
しかも殺されただなんて……。
鳩尾の辺りが締め付けられて、胃が痛くなる。
母が関わっていたなんて信じられない。
「殺されたって証拠はあるの?」
「ないよ。しかし、状況から考えると父は何者かの手によって殺されたとしか思えない」
「状況って?」
「拘置所でクビをつったんだ」
「拘置所で!」
「妃奈子さんを誘拐した後、父は自首したんだよ。それで検察で取り調べを受けている時に自殺をした。チャイルドの事を世間に訴えようとしていた父が自殺をするとは思えない。きっと父は裁判で神宮寺製薬の悪事を告発しようとしていたんだ。それを何者かが阻止する為に、父に手を下した。拘置所の中でそんな事ができるのは権力を持った人間しかいない」
「22年前の母に権力はなかったわ。母は絶対に関わっていない」
「妃奈子さんは何だかんだ言って、お母さんを信じたいんだね。でも、妃奈子さんは人が良過ぎるよ。知ってるかい? 妃奈子さんの誘拐事件は父の死と共に隠蔽されたんだよ。どんな力が関わったか僕の立場ではわからないが」
三田村君も私の誘拐事件は隠蔽されたと言っていた。
それをしたのが母だって浅羽は言いたいの?
「口止め料って、何の?」
「倉田浩介の存在を忘れる口止め料だよ」
「存在を忘れる?」
「妃奈子さん、倉田浩介はもうこの世にいないんだよ。妃奈子さんを誘拐した後、父は神宮寺製薬と佐伯洋子に殺されたんだ。表向きは自殺した事になっているが」
倉田浩介が亡くなっていたなんて……。
しかも殺されただなんて……。
鳩尾の辺りが締め付けられて、胃が痛くなる。
母が関わっていたなんて信じられない。
「殺されたって証拠はあるの?」
「ないよ。しかし、状況から考えると父は何者かの手によって殺されたとしか思えない」
「状況って?」
「拘置所でクビをつったんだ」
「拘置所で!」
「妃奈子さんを誘拐した後、父は自首したんだよ。それで検察で取り調べを受けている時に自殺をした。チャイルドの事を世間に訴えようとしていた父が自殺をするとは思えない。きっと父は裁判で神宮寺製薬の悪事を告発しようとしていたんだ。それを何者かが阻止する為に、父に手を下した。拘置所の中でそんな事ができるのは権力を持った人間しかいない」
「22年前の母に権力はなかったわ。母は絶対に関わっていない」
「妃奈子さんは何だかんだ言って、お母さんを信じたいんだね。でも、妃奈子さんは人が良過ぎるよ。知ってるかい? 妃奈子さんの誘拐事件は父の死と共に隠蔽されたんだよ。どんな力が関わったか僕の立場ではわからないが」
三田村君も私の誘拐事件は隠蔽されたと言っていた。
それをしたのが母だって浅羽は言いたいの?