私のボディーガード君
夢で見た光景と重なった。

三田村君が死んじゃう。

「妃奈子さん、逃げろ」

掠れた声がした。
私に覆いかぶさっていた三田村君が起き上がる。

「今すぐ逃げろ」

大きな手が強く私の腕を掴んで、私を立たせる。
血の滲んだ左肩を見て心配で堪らなくなった。

「どけ!」

ライフルの男が二階から叫んだ。

「撃つぞ!」
「俺を撃て!!」

三田村君の怒声にライフルの男が怯む。その隙をつくように、三田村君が玄関ドアを開けて、私を外に押しやった。

ドアが閉まり銃声が響く。

「三田村君!」

ドアノブを掴もうとした時、横から出て来た手にぐいっと腕を掴まれる。

「佐伯先生、こっちです」

若林さんだった。
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