私のボディーガード君
「三田村君が! それに綾子さんも」
「後は私たちにお任せ下さい」

辺りを見ると夜の闇を照らすパトカーの赤色灯が目についた。
ログハウスの周りを囲むように何十人もの警察官が立っている。

「でも、三田村君が」

パンパンとまた銃声が聞こえる。

「三田村君、三田村君!」

中に入ろうとして、若林さんに止められる。

「先生、早く避難して下さい」

若林さんに両肩を掴まれ、引きずられるようにパトカーの後部座席に押し込まれた。

「佐伯先生、こんな事で三田村は死にません。安全な場所で待っていて下さい」

若林さんがドアを閉めると、パトカーが走り出した。
外に出ようとしたら、ロックがかかっていて出られない。

ガチャ、ガチャとドアノブを動かしながら叫んだ。

「停めて! 停めて下さい!」

警察官は私の声を無視するようにパトカーを走らせる。

振り向いた後ろの窓からは、もうログハウスは見えなかった。

三田村君の事が心配で、涙が止まらない。

うっ、うっ……。

三田村君……。

どうか、無事でいて。

神様、もう一度三田村君に会わせて下さい。
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