私のボディーガード君
ゴールデンウィーク初日。
ホテルのラウンジでお見合い相手を待った。
母からお見合い相手の名前を聞いて、会うと即答した。
気合いを入れて、桜色のワンピを着て、髪型もメイクも美容院で仕上げてもらった。今日の私は完璧。男の人の視線を沢山感じるし、きっとそれなりに綺麗なはず。
ホテルに部屋も取った。絶対に連れ込んでみせる。
34歳の本気を見せてやる。
可愛い女を演じて、私に夢中にさせてみせるんだから。
それであんな去り方をした事を叱って……。
「佐伯妃奈子さん」
背中に聞き覚えのある低い声がかかった。
振り向くと、グレーのスリーピーススーツをビシッと着た三田村君が立っている。
「お待たせしました。三田村勇人です。今日はよろしくお願い……」
立ち上がってスーツ越しの逞しい胸板に抱きついた。
ムスクの匂いがする。大好きな三田村君の匂いだ。
叱ってやろうと思ったのに、勝手に涙が出てくる。
「妃奈子さん?」
頭の上で戸惑ったような声がする。
「バカ。来るのが遅い」
「すみません。いろいろと調整していたもので」
「調整?」
顔を上げると、端正な顔が柔らかな笑みを浮かべた。
「今日のお見合いの返事を今してもいいですか?」
「もうするの?」
「心を決めてきましたから。妃奈子さん、俺と結婚を前提につき合って下さい」
男らしく言い切った三田村君に胸が高鳴った。
嬉し過ぎる。
「はい。不束者ですが、末永くお願いします」
私の返事を聞いて、端整な顔がくしゃっと嬉しそうに笑った。
「では、参りましょう」
三田村君が私の手を掴んで歩き出す。
「あの、どこに?」
「妃奈子さんと2人きりで過ごしたくて部屋を取りました」
かあーと頬が熱くなる。
私も取ったけど、まさか三田村君も……。
ホテルのラウンジでお見合い相手を待った。
母からお見合い相手の名前を聞いて、会うと即答した。
気合いを入れて、桜色のワンピを着て、髪型もメイクも美容院で仕上げてもらった。今日の私は完璧。男の人の視線を沢山感じるし、きっとそれなりに綺麗なはず。
ホテルに部屋も取った。絶対に連れ込んでみせる。
34歳の本気を見せてやる。
可愛い女を演じて、私に夢中にさせてみせるんだから。
それであんな去り方をした事を叱って……。
「佐伯妃奈子さん」
背中に聞き覚えのある低い声がかかった。
振り向くと、グレーのスリーピーススーツをビシッと着た三田村君が立っている。
「お待たせしました。三田村勇人です。今日はよろしくお願い……」
立ち上がってスーツ越しの逞しい胸板に抱きついた。
ムスクの匂いがする。大好きな三田村君の匂いだ。
叱ってやろうと思ったのに、勝手に涙が出てくる。
「妃奈子さん?」
頭の上で戸惑ったような声がする。
「バカ。来るのが遅い」
「すみません。いろいろと調整していたもので」
「調整?」
顔を上げると、端正な顔が柔らかな笑みを浮かべた。
「今日のお見合いの返事を今してもいいですか?」
「もうするの?」
「心を決めてきましたから。妃奈子さん、俺と結婚を前提につき合って下さい」
男らしく言い切った三田村君に胸が高鳴った。
嬉し過ぎる。
「はい。不束者ですが、末永くお願いします」
私の返事を聞いて、端整な顔がくしゃっと嬉しそうに笑った。
「では、参りましょう」
三田村君が私の手を掴んで歩き出す。
「あの、どこに?」
「妃奈子さんと2人きりで過ごしたくて部屋を取りました」
かあーと頬が熱くなる。
私も取ったけど、まさか三田村君も……。