私のボディーガード君
三田村君は本当にホテルに部屋を取っていた。しかもスイートルーム。豪華な部屋に驚いていたら、後ろから長い腕が回って来て抱きしめられた。

「ああ、妃奈子さんだ」

くんくんと私の匂いを嗅ぐように首筋に三田村君が鼻をあてる。生温かい鼻の感触と、熱い吐息を感じて鼓動が速くなる。

こんな風にされたのは初めてで緊張する。

「三田村君、くすぐったい」
「会いたかったです」

耳元で響いた低い声にドキンっと胸が高鳴った。

「会いたくて堪らなかった」

吐息交じりの声で言われて、涙ぐみそうになる。
私だってどんなに会いたかったか。

「私も会いたかった。どうして連絡くれなかったの?」

ぎゅっと胸の前に周るスーツ越しの腕を掴む。

「怪我をしていたので」

あっ。左肩。

「三田村君、怪我大丈夫?」

振り向くと、黒い瞳が微笑んだ。

「もうすっかり治りました」
「他に怪我は?」
「ライフルの男が下手だったおかげで、撃たれたのは左肩だけです」
「良かった。もう、三田村君、無茶するんだもん」

トンと、スーツ越しの胸を叩いてやった。

「それはこっちのセリフですよ。一人で浅羽に会いに行くなんて無謀です。俺に相談して欲しかったですね」

ちょっと怒ったような表情を三田村君が浮かべる。

「ごめんなさい。三田村君に守られてばかりでいるのが嫌だったの。浅羽が銃まで出してくるとは思わなかったし、話せばわかると思ったの」

「その考えが俺を信頼していないって事なんです。妃奈子さんに置いていかれて、どれほど落ち込んだか」

「信頼していない訳じゃないよ。むしろ三田村君に傷ついて欲しくないから」

「あんな素人相手に怪我するような俺じゃないです。俺の強さを信じて下さい。どんな事があっても俺は妃奈子さんを守るし、俺も妃奈子さんの為に死んだりしません」

そっか。三田村君は強いんだ。簡単にやられたりしないんだ。
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