私のボディーガード君
「ひなちゃん、わかってちょうだい」
何度、そう言われて来たんだろう。いつも母の言葉に頷くしかなかった。
だけど……。
今夜は頷かない。母の思い通りになんかさせたくない。私は駒じゃない。意志を持った人間だってわからせたい。
ギュッと膝の上の拳を強く握った。
「何と言われようと無理です。男の人とは一緒に暮らせません」
背筋を伸ばして、正面の母を鋭く見ると、強気だった母の表情が急に弱々しくなった。
「ひなちゃんの身が危ないのよ? 命を狙われているのよ」
「佐伯洋子の娘に生まれた事を運がなかった事だと思って、長生きする事は諦めます」
「なんて事を言うの!」
「12歳の時に思った事です。佐伯洋子の娘に生まれたから私は誘拐されたんだって。死にたくはありませんが、そうなったら運命だったと受け入れます。大臣も娘を犠牲にする運命だったと受け入れて、私が死んだ後も国政に励んで下さい」
「そんな運命、私が許しません!」
母が感情的にテーブルを叩いた。
それから、こっちを見た母が涙ぐんだ。
何度、そう言われて来たんだろう。いつも母の言葉に頷くしかなかった。
だけど……。
今夜は頷かない。母の思い通りになんかさせたくない。私は駒じゃない。意志を持った人間だってわからせたい。
ギュッと膝の上の拳を強く握った。
「何と言われようと無理です。男の人とは一緒に暮らせません」
背筋を伸ばして、正面の母を鋭く見ると、強気だった母の表情が急に弱々しくなった。
「ひなちゃんの身が危ないのよ? 命を狙われているのよ」
「佐伯洋子の娘に生まれた事を運がなかった事だと思って、長生きする事は諦めます」
「なんて事を言うの!」
「12歳の時に思った事です。佐伯洋子の娘に生まれたから私は誘拐されたんだって。死にたくはありませんが、そうなったら運命だったと受け入れます。大臣も娘を犠牲にする運命だったと受け入れて、私が死んだ後も国政に励んで下さい」
「そんな運命、私が許しません!」
母が感情的にテーブルを叩いた。
それから、こっちを見た母が涙ぐんだ。