私のボディーガード君
「本日は大学の後に行かれる場所はありますか?」
「えっ!」
動揺し過ぎていつもより高い声が出てしまった。
恥ずかしい。

「あの、えーと、大学の後は……」
クリスマスなのに悲しいぐらい用事が入っていない。

「締め切りが近いから何も用時は入れていないの。大学が終わったら家で原稿を書きます」
本当は締め切りの物は終わっていたけど、見栄を張りたかった。これ以上、三田村君に寂しい女だって思われたくない。

「かしこまりました。では、大学の後はご自宅でよろしいですね?」
またルームミラー越しに目が合って心臓が跳ねた。ただちょっと目が合っただけなのに反応し過ぎだ。きっと、あの色っぽい夢のせい。早く忘れなきゃ。

「はい。自宅で。とろこで私の警護だけど、本当に三田村君と同居する事になるの?」

送迎ぐらいはいいとして、一緒に住むのは抵抗がある。

「妃奈子さんのご迷惑にならないように調整をしますので、ご心配なく」

調整って? どう調整するの?
ますます心配になってくる。

「それは同居はなくなったという事?」
「すぐにわかりますよ」

今教えて欲しいんだけど。
三田村君、何を企んでいるの?
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