私のボディーガード君
 私の男性との基本的なパーソナルスペースは2メートル。それ以上、近づかれると手が届きそうで怖い。
 なのに、男はあっさりとパーソナルスペースを破って近づいてくる。

 男の手が伸びて私に触れようとする。
 触れられたら、鳥肌が立つ。

「触らないで!」

 ありったけの声で叫ぶと、男の手が止まる。

「触ったら、吐くから」

 キリっとした黒眉が驚いたように上がった。

「私は男性に触れられると鳥肌が立って気持ち悪くなるの。だから、あなたと手を繋げるはずない」

 男が考えるように自分の顎に触れる。

「しかし、昨夜、俺は酩酊状態のあなたをおぶってここまで運びました。吐かれる事なんてなかったけどな」
「えっ」
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