私のボディーガード君
「可笑しいですか?」

笑っていると、三田村君がいじけたような目を向けてくる。そんな三田村君が子犬みたいで可愛い。

「あ、ごめんなさい。ちょっとわかる気がして。三田村君、アイドルみたいな綺麗な顔しているから」

「綺麗というか、女性っぽい顔立ちなんですよね」
三田村君が自分の頬に触れる。

「中学生の時、好きな女の子に私の顔にお化粧がしたいと強請られて、強引にメイクされた事があります。それで、ワンピースまで着せられて、メイクしたまま外に連れ出されて、同じ部活のやつと遭遇して、次の日から『勇人』から『ハヤ子』って呼ばれるようになって」

ハヤ子って……。そのまま過ぎる。
悪いと思いながらも笑ってしまう。

「ごめん、笑ってはダメよね。でも、想像したら面白くて」

コーヒーカップから顔を上げて、こっちを見た三田村君が優しく微笑んだ。

「良かった。さっき教室から出て来た時、妃奈子さん、何だか辛そうだったから」

三田村君、私が落ち込んでいた事に気づいていたの?
だから笑わせてくれたの?

「妃奈子さんが笑顔でいられるように守りますから。不安な事があったら言って下さい」

胸がキュンとする。
三田村君は私の心の平和も守ってくれるの? なんて心強い人なんだろう。
彼だったらきっと私を守ってくれる。

「はい。頼りにしています。ホディーガードさん」

三田村君が力強く頷いた。
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