私のボディーガード君
「ところで妃奈子さん、明日から冬休みですよね?」

三田村君の言葉に「ええ」と頷くと「ご予定は?」と聞かれた。

予定……。

研究室と自宅の掃除をして、浅羽と日帰りで温泉に行って、それから初詣を……。

いや、浅羽との約束は別れたからもうなしだ。
浅羽、私と過ごす代わりにゆみちゃんと過ごすのかな……。

ギュッと胸が締め付けられる。

「実は明日からは妃奈子さんを安全な場所にお連れしたいのですが」

黙っていると三田村君が先を急ぐように話した。

「安全な場所?」
「はい。人が多い東京にいるよりは安全です」
「つまり、冬休み中はその安全な場所に私を閉じ込めておきたいと?」
三田村君がクスッと笑った。

「閉じ込めはしませんよ」
「三田村君も一緒なの?」
「もちろん。ですが、妃奈子さんに24時間べったりと付く訳ではないのでご安心を」
「良かった。それなら安全な場所に行ってみようかな」

日常を離れて気分転換がしたかった。
それに三田村君が言う安全な場所がどんな所か気になる。

もしかして地下シェルターとか?
あるいは……。

「ありがとうございます。では、手配させて頂きます」

三田村君が上着の内ポケットからスマホを取り出して、どこかに連絡をし始めた。
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