私のボディーガード君
桜が咲いている。

病院の白いベンチの上には桜の花びらが落ちていて、それが可愛い。
夢中になってベンチの上の花びらを拾っていたら、「あげる」って青いパジャマの男の子が花びらをくれた。

「みっくん、どこ?」

看護師さんの声がした。
男の子がしーって人差し指を自分の口元にやった。

「みっくーん! みっくーん!」

看護師さんの声が近づいてくる。
男の子の小さな手を取って、一緒に桜の木の後ろに隠れた。
こっちまで来た看護師さんは私たちに気付かず行ってしまう。

「お姉ちゃん、ありがとう」

男の子が言った。目がパッチリとした可愛い顔をした男の子。
私と同じく入院していて、点滴が嫌で逃げて来たらしい。

「明日も遊ぼうね」

そう約束して、男の子と別れた。
そして、次の日、桜の木のそばで男の子を待っていたら、知らないおじさんに声をかけられた。

「佐伯妃奈子ちゃん?」
「……はい」って答えると、おじさんは私を……。

頭が痛い。息が苦しい。
誰か助けて、誰か……。
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