私のボディーガード君
「妃奈子さん、熱、測って下さい」
三田村君に体温計を渡された。
言われるまま熱を測ると38度もあってびっくり。

こんなに高い熱を出したのは二年前にインフルエンザに罹って以来だ。

「お粥を食べたら薬を飲んで下さい。妃奈子さんが眠っている間、お医者さんに来てもらったんです。診断は風邪だそうです。温かくしてよく眠って下さいと言われました」

お医者さんまで手配してくれたんだ。
よく見ると三田村君の表情に疲れが見える。

何時から私に付き添っていたんだろう?
三田村君こそ、ご飯は食べたの?

いろいろ心配になって来た。

「三田村君、夕飯食べた?」
「心配してくれるんですか?」
「心配っていうか、気になったの。いつからここにいるの?」
「5時頃からです」

四時間もここに……。

「妃奈子さん、不愉快な思いをさせてすみません。それから風邪もひかせてしまって、申し訳なかったです。《《俺》》が灯台に行こうなんて言ったから」

私じゃなく俺……。
初めて会った時みたいに自分の事を俺って今言った。

素の三田村君の言い方なのかな。

「ボディーガード失格です」
三田村君がガクッと首を落として項垂れた。

かなり落ち込んでそう。
そんなに責任感じなくてもいいのに。

一生懸命守ってくれているのに、腹を立てたりして悪かったかな。
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