私のボディーガード君
友美を疑うような事はしたくなかったけど、三田村君に友美の事を悪く言われるのも嫌だったので電話をした。

友美に写真の事を聞くと思いがけない言葉が返って来て、思わず「このバカチンが」と言ってしまった。

「友美さん、どうでした?」

スマホを切った私をキリッとした黒い瞳が見つめる。

「あの、その……」
非常に言いづらい。

「何ですか?」
「友美のカフェ、メニューを紹介するブログをやっていて、そこで時々、メニュー以外の事を書く事もあって、それで、その、私の写真が年末に相応しいものだったから使ったと……」
「つまり、妃奈子さんが送った海の写真をブログに載せてしまったと?」
「はい」
怖くて三田村君の方を見られない。

「友美さんのブログ見られますか?」
「記事は今、電話しながら消してくれたようで」
「確認したいので見せて下さい」
「どうぞ」
友美のブログを表示したスマホを三田村君に差し出した。

「確かに消えていますね」
「犯人は友美のブログを見て私の居所を?」
「その可能性が高いと思います。犯人は妃奈子さんの交友関係も調査しているんでしょう。写真一枚で居所を突き止める程ですから」

背筋がゾクッとする。

「じゃあ、私の生活は犯人に知られていて……」
「住んでいる所も、勤め先も、よく行くお店もチェックしているでしょうね。友美さんのブログもチェックしている程ですから」

体中から血の気が引いて行く。
私の生活を全部知られていると思ったら、怖くて堪らない。
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