夏恋サテライト
「棗はゼロ点どころかマイナス。態度がなってないしどこでもいいは1番ダメだね」
「…」
「そのくせ家はダメだのなんだの、お前は王様か」
柏崎くんの発言が図星なのか棗は気まずそうに目を逸らした。
棗が柏崎くんに押されてる…!!
「第三者がいなきゃ歯止めがきかなくなるんだろ、はっきりそう言えば?」
「歯止め…?」
「あ、こっちの話。さりちは気にしなくていいよ」
「…?」
「…余計なこと言うなって言ってんだろ」
「は、さりちのことになると余裕ないね。いつもの棗とは思えないな〜だっせ」
「チッ…」
棗は柏崎くんをぎろりと睨んで舌打ちを一つこぼして立ち上がった。
「あ、棗!」
教室を出ていく後ろ姿を追いかけてついていく。
もう授業始まる3分前なのに。
「頭冷やしてくるだけ。ついてこなくていい」
「やだよ、棗がなんて言おうとついてくから」
「……好きにすれば」
一度向き直って、私の意思が固いことに気づいたのか今度は手を取って歩き出した。
付き合う前は有り得なかった距離感に胸がキュンとした。