夏恋サテライト
「…棗、ヤキモチ?」
「違う」
「もう補習終わったし、2人になることはないよ」
「そ」
「そもそも柏崎くんも私もお互いのこと棗の友達、棗の彼女としか思ってないしね」
「そ」
「棗ありきの関係だよ、私たち」
「…もういいよ、分かった」
棗はスマホをポケットにしまって私の目を見た。
どうやら少し機嫌が治ったらしい。
さっきより穏やかな顔をしている気がする
私しか分からないような微々たる差だと思うけど。
私気づいてるんだよ。
スマホを取り出しただけで、何もしてなかったこと。
ロックすら解除せずに持ってただけってこと。
「…棗かわいい」
「もう1回言ったらしばく」
「それは困るなぁ」
廊下からチャイムが鳴る音がしたけどそんなの知らんぷり。
私は授業より意味のある時間を過ごしているのです。