夏恋サテライト
「で、どこ行きたい?」
「棗は?」
「…だから俺はどこでも」
「よくないでしょ?」
食い気味に否定すると棗はむっと押し黙る。
どこでもいいなんて、もう言わせてやらないんだから。
「じゃあ一緒に柏崎くんの家いこ」
「は?」
「どこでもいいんでしょ?柏崎くんの家で遊ぼう」
「…正気?」
棗の声がワントーン下がって眉根が怪訝に顰められた。
わかりやすい、いつからそんなに顔に出るようになったのでしょうか。
私に似たのかななんて。
棗の考えが分かってて意地悪してる私も大概棗に似てきてるような気もする。