夏恋サテライト
「いやなんでしょ?素直にいいなよ」
「…お前いつからそんな性格悪くなったの」
「今私も思ってたんだけど、棗に似てきたのかなって」
「おい」
先に性格悪いって言ってきたのは棗のほうだもん。
そう言えば棗はバツが悪そうに目を逸らした。
私の勝利っ
「冗談だよ、柏崎くんがかわいそうだもんね」
カップルの記念日デートスポットにされるなんて意味がわからない状況になる。
柏崎くんならおっけーとか言ってそうだけど
さすがにこちらが気まずい。
「いや違うけど」
「え?」
「あいつがかわいそうじゃなくて、俺がお前に他の男の家行って欲しくないだけ」
「……はぇ?」
予想もしない一言にピシリと固まる。
この人今、顔色ひとつ変えずにとんでもないこと言った?
他の男の家行って欲しくないだけ、
その言葉が脳内で何回もリピートされる。
そして段々顔に熱が集中してきたような気がする。